モバイルFeliCa ICチップ(第二世代)の開発において形式仕様記述(VDM)が活用されたことは,様々な記事もありよく知られています.これに続く第三世代の開発においては,日本語とVDM記述の併用による不整合やコストの問題を避けるため,VDM記述のみが仕様記述として用いられました.これは外部パートナーもVDM記述を読むことにもつながり,開発において遵守されるべき仕様とそうでない検証用の記述を分けるなど,可読性のための多くの工夫がなされました.その結果として,開発の効率を維持しつつ,仕様記述に起因する問題を第二世代よりも少なくすることが可能となりました.